歌舞伎十八番「勧進帳」

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 「またかの関」と呼ばれるほど人気な「勧進帳」。

  兄頼朝に追われ、山伏姿で奥州に逃れる義経一行が差し掛かった、現在の富山県安宅の関。そこで待ち構えるは、義経が山伏姿で落ち延びているとの情報を得ている、関守の富樫。

 

  あわや正体が暴かれてしまうのではないかという緊迫感、義経主従の忠義、弁慶の勇壮な読上げ、富樫の男気、延年の舞、そして飛び六方。途切れることのない劇的な展開は見るものを魅了します。

  この勧進帳が、今の姿となったのは、明治時代に入ってからのことでした。能が武士の式楽でなくなり、演劇改良運動を受けて、懐古的に原典である能の要素を取り入れたのだそうです。

  温故知新の精神が溢れているのは、歌舞伎の素敵なところの一つです。