銀河鉄道

f:id:rotational_symmetry:20181216114525j:plain   二人は、停車場の前の、水晶細工のように見える銀杏いちょうの木に囲まれた、

   小さな広場に出ました。そこから幅はばの広いみちが、まっすぐに銀河の青光の

   中へ通っていました。

                  ―宮沢賢治銀河鉄道の夜」-

 

  物語の始め主人公ジョバンニ少年は、深い疎外感を抱えています。しかし、夢と現実が交錯する「銀河鉄道」の旅の中で、様々な乗客 - 理想半ばで諦めている様子の鳥捕りや、自己犠牲愛に達した家庭教師の青年、そしてジョバンニが敬愛し、自己犠牲がみんなの「ほんとうの幸い」なのか逡巡する同級生カムパネルラ - に出会い、彼らと対話する中で、やがてジョバンニは、みんなの「ほんとうの幸い」を探しにどこまでも行きたいと願うようになります。

  物語の終わりに、カムパネルラはもういませんが、ジョバンニはしっかり前を向いて生き始めます。

  先日、ふたご座流星群が見頃を迎えました。寒空のもとでは首を縮めがちです。しかし、夜空を思いっきり見上げ、「ほんとうの幸い」を探す者を乗せて「銀河鉄道」走っていると想像すると心が温まるように思います。